記憶はどこに消えた?

記憶はどこに消えた?

音楽と漫画、海外ドラマにガジェットのレビュー及び備忘録。

痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。を見たので所感を述べることにしたが、思ったより書くことがなかったので更新が捗らなかった件


TVアニメ『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』ティザーPV

出典:You Tube

(C)2020 夕蜜柑・狐印/KADOKAWA/防振り製作委員会

まえがき

5月前半の話なのですが、GW前から勤務先が休業となり、久しぶりにガッツリと映像を見たいという気持ちになりました。約1年ぶりにNetflixを再開し、数年前から見ていた海外ドラマの最新シーズン等を探して視聴していたのですが、それらをある程度見終わり次に見る動画を探していた所、ふとアニメのカテゴリが目に入った為何の気なしにクリックしてみました。するとあからさまに近年多いなろう系小説原作とわかる本作のタイトルが目立っていた為、興味を覚えました。

しかし私は個人的に原作が書籍の作品に関しては知覚情報が少ない媒体で鑑賞する方が面白いという持論を持っており、つまり漫画や小説やドラマCDといった、作品をインプットする感覚器が限定されている媒体の方が作品内の空気感や情感について想像する余地が残されていると考えているのですが、そういった事情もありこれまで映像作品の中でも原作のあるアニメの視聴にはあまり前向きではありませんでした。

とはいえ、そろそろそんな自己理論から脱却したいという欲求があり、また後述するなろう系特有の理由により今作を視聴する運びとなりました。

 

なろう系について思うこと

本作は小説投稿サイト・小説家になろう上で連載されている同名の作品が原作となっています。著者は夕蜜紺先生です。

漫画やアニメのファンの皆様は既に周知の事と思いますが、小説家になろうは個人投稿サイトという性質上乱文が多くなっており、到底読むことが難しいと思われる稚拙な内容の作品なども投稿されています。人気のジャンルがある程度固定されている為似たりよったりの内容が大量に投稿され差別化が難しくなっているのも特徴です。

また人気の作品においても一人称や口調などが統一されていない、ぶつ切りでまとまりのない文章、ストーリーにおけるキャラクターの感情や会話の描写が変哲といったある意味SNS時代の社会病質とも言える問題を抱えている事があり、読書をよくされる方には苦痛を感じさせるコンテンツになっていると思います。

しかしやはり人気が高く出版社にメディア展開されていくような作品はストーリーが優れているものが多くあり、まさに荒削りの才能で魅せるといった具合になっています。そしてかなりの確率でやれやれ系男子無意味に可愛い少女が出てきます。

そういった事情からなろう系作品はむしろメディア展開に向いているという特有の構造を抱えています。アニメーターや漫画家といったプロが原作をリメイクする事で色々と美麗に補完がなされ完成度が増すという事です。

 

作品の感想

二日間で一気に見たのですが、正直に思った事は

面白くも面白くなくもなく、普通

でした。

ただ、このところ最早宇宙的規模で存在するのではないかとすら思われる異世界転生モノや、.hackのようなゲームの中に精神が取り込まれ系ではない点には好感を覚えました。

今作は単純に美少女がVRMMOゲームをするだけという内容になっています。勿論ヘッドマウントディスプレイは装着します。lainを好きになりましょう。

ゲームの描写だけではなく現実パートもあり、ゲーム内キャラがダメージを負う事により現実のキャラクターが傷つく事もなく安心感はあるのですが、逆に言うと緊迫感はありません。かつては私もゲームにのめり込んでいた時期がありましたので偉そうには書けませんが、ゲーム内での出来事が世の中の全てのようにキャラが四苦八苦する様子には若干の薄ら寒さを覚えます。

ストーリーですが、ゲームを殆どやった事がないにも関わらず、その天然の思考でいともたやすくマンチ行為を行う主人公、身体能力が優れており集中すると敵の動きがスローで見えてそうな可愛いギャルの親友などなろう特有のチート要素があり、爽快な内容ではあります。

しかし毎回山場はあるものの基本的にはゲーム内イベントをこなすだけとなっており、平坦でドラマ性もそれ程なく微妙なものになってしまっています。やはりゲームを主軸にするなら、キャラ同士の心理的交錯や戦略的思考等をもう少し掘り下げて描写して欲しかったと思いました。

大事な事ですが、キャラは可愛いです。癒されます。アニメーターの技量が凄いと思います。

舌足らずでキンキンした典型的主人公声にはいまだに慣れません。

 

おわりに

色々と批判のような事を書いたものの、興味を惹かれる内容もあり、全体としては割と良かったと思います。

何よりこれはアニメ全体に言える事なのですが、音楽が素晴らしいです。今作は増田太郎さんという方がサウンドを手掛けているらしいのですが、ゲーム音楽に相応しいかっこいい音作りがされていました。作曲家の方には日々尊敬の念を感じます。

続編の制作が決定しているとの事なので、楽しみにしています。ただ恐らく見ないと思います。万が一また勤務先が休業になったら発作的に見るかもしれません。

次回のレビューではゴッサムやベター・コール・ソウル等大好きな海外ドラマのレビューが・・・したい・・・