関西のピアノ猛者、竹下清志のLive atについて
今日もご機嫌なピアノトリオ・アルバムのご紹介です。
竹下清志:Live at
パーソネル:竹下清志(p)安藤 昇(b)江藤良人(ds)
竹下清志さんと言えば関西のジャズシーンではよく知られているピアニストであり、ジャズにタンゴ、ロックまでマルチにこなすミュージシャンです。主に関西圏のジャズバーやクラブを自身のプロジェクトで、又はセッションミュージシャンとして飛び回っている売れっ子なのですが、当アルバムは竹下さんの活動の本拠地である梅田の老舗ジャズバー・ロイヤルホース(現在はコロナの影響により休業中だそうです)にて行われた2006年のライブ録音となります。
またロイヤルホースの独自企画盤であり、同店HPのみで販売されているようです。
以下に曲目を記します。
1.カリヨン
2.シスター・シェリル
3.イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ
4.マイ・ディア
5.トラスト・イン・ミー
6.ワン・フィンガー・スナップ
7.ドリーム
では聴き所を書いていきましょう。
1.は竹下さんの自作曲との事で、楽器のカリヨンをモチーフにした、和音を鐘のように奏でていく静かな楽曲となっています。竹下さんのピアノに呼応するベースとドラムとのやり取りが巧みです。内面に沈んでいくような落ち着いた演奏となっています。その雰囲気を残したまま天才ドラマー、トニー・ウィリアムズの楽曲に入ります。徐々に盛り上がる展開、インタープレイに胸が熱くなります。竹下さんの郷愁的かつロマンチックな演奏の解釈は凄みがありますが、1.と同じく呼応するように寄り添うベースとドラムの技量も素晴らしいと思います。スケール感の大きい演奏となっています。
3.は有名なスタンダードです。思惟的なイントロから始まり、2.までとは打って変わってジャズ的なスウィングした演奏となります。竹下さんらしいモダンなシャッフルのようなフレーズ展開が小気味よく美しいです。
6.ワン・フィンガー・スナップはハービー・ハンコック作曲のかっこいい曲ですが、開幕から気迫ある演奏を繰り広げ、ノリに乗っている事が伺えます。ジャズ的なアップテンポで技巧的なピアノでグイグイ攻めますが、前半の曲目で聴かせたようなどこか静かで知的な雰囲気も残っているのが特徴です。竹下さんといえば天才的なプレイで有名な人ですが、まさに面目躍如といった所で、練りに練った完璧な構成で聴かせる文句のつけようのない名演となっています。
ボーカル入の7.でしっとり締めますが、個人的に器楽のアルバムにアクセントとして取り入れられるボーカル演奏があまり好きではありませんので感想は特にありません。
おわりに
本文で何度も書いたのですが、一貫して静かで考え耽るようなイメージをアルバム全体的に感じさせる安らかな作品となっています。大切な人との癒しの時間のお供に、また集中したい時のBGMに、はたまた夜のドライブミュージックに・・・ぜひ聴いて頂ければと思います。
せっかくなので、最後にYou Tubeにアップされている竹下清志さんの超絶かっこいいソロアドリブ動画を貼ります。
出典:You Tube