記憶はどこに消えた?

記憶はどこに消えた?

音楽と漫画、海外ドラマにガジェットのレビュー及び備忘録。

チェイサーゲーム、ゲームクリエイター情熱漫画

筆者は漫画を読む事を趣味としており、今日も今日とてネットで面白そうな漫画を探していたのですが、やがてチェイサーゲームという漫画の表紙がふと目に入りました。コレ↓

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出典:Amazon

 コントローラーを持った長髪美少女。表情から察するにどこかヤンデレである事が明らかなこの表紙案件、タイトルに〜ゲームがついてる事からもよくある学園デスゲーム或いはバトルロイヤル作品なのかな・・と若干食傷気味になりながら恐る恐る1巻を読んでみた所、冒頭からデスゲームの雰囲気は微塵もなく逆に動揺しました。

この漫画チェイサーゲームの原作は現存するゲームクリエイト会社サイバーコネクトツー松山洋社長が書いており、業界の裏表を知り尽くした作家による専門知識を使いつつも非常にわかり易く描かれた内容に仕上がっています。この漫画を読んで恥ずかしながら初めて知ったのですが、サイバーコネクトツーは2000年頃一大ブームとなったメディアミックス作品.hackの制作会社との事で、当時を思い出し懐かしい気分になりました。余談ですがアニメ版.hackのBGMはゲーム音楽家で有名な梶浦由記さんが制作しており、民族音楽エレクトロニカをMIXしたような作風が大変素晴らしくCDを購入してヘビーリスニングしていた記憶があります。


.hack//SIGN OST: The World

 出典:You Tube

チェイサーゲームよりむしろ梶浦由記さんについて記事を書きたくなってきましたが、またの機会にするとしてそれは一旦置いておきます。

本作はゲーム会社に務める主人公(30)が昇進し管理職になる事から始まる、楽しい楽しい(?)お仕事リアル漫画となっております。怒涛の内輪ネタで構成されており、現実に起こったであろう企業問題をベースに起伏のあるストーリーが進行し、そのうちグイグイ読者を引き込みます。また普段ゲームはプレイしていても大半の人にとって馴染みのないであろう制作現場の事情を伺い知る事ができ、驚きと共に勉強になる事柄が多いです。特に事故や事件等が起こった際に起きる社会不安がもたらすゲームへの影響については目からウロコでした。

また話と話の間にデバックルームと称された開発コラムが収録されており、これがまた面白く為になります。漫画中の解説と共に裏話が語られたり・・。作中で松山社長は大変カリスマ性のある人物として描かれているのですが、決して脚色では無い事がそのコラムから伺えます。それにしても凄い自信家ではあります。

ストーリー中「ゲームを作りたいという熱意が何よりも大切」と何度も繰り返し描写されており、その事を何より読者に伝えたい社長の思いが伝わってきます。そして熱い情熱を持ったキャラクター達につい感情移入してしまいます。思いがけず啓発されます。

作画を担当する松島幸太朗先生の事を私は当作で初めて知ったのですが(一瞬ラグビー選手か?と思いました)、硬軟使い分けた描写が上手くその点も間違いなく本作の魅力を引き出していると思います。

私的な感想ではあるのですが、作中登場する少し幼くコミカルな外見に描かれているマスコット的な女性社員の仕草やうなじが妙に滑らかで色っぽく描かれている時があり、松島先生の技量を感じました。OLフェチなのは間違いなし。

おわりに

数年前ブームになった、可愛い女子達によるゲーム制作漫画「NEW GAME!!」のようなほんわかとした内容も癒しになり良いですが、当作のような骨太でリアルなゲーム制作漫画も何か、凄く良いなと思った次第です(語彙不足)。

ただnoteの松山社長の記事で読んだのですが、どうも2019年の時点ではこの漫画の消化率は悪く、打ち切りの危機に瀕していたようです。私は続きが読みたくて仕方ないのでそれは困ります。売れて欲しいです。アニメ化までいっちゃえば。

私も微力ながら支援させて頂きたい・・と思いました。

しかし思っただけ。貧乏故。

なお当該記事はこちら、原作者がこういった経済的事情を細かく説明するというのも面白いです。

note.com