記憶はどこに消えた?

記憶はどこに消えた?

音楽と漫画、海外ドラマにガジェットのレビュー及び備忘録。

Rakuten mini、コンパクトだけどしっかりとしたAndroid

さて先週楽天モバイルよりRakuten miniが届き、ぼちぼち操作感を確かめておりましたので、外観や取り回しをご紹介します。

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なんといってもこの端末は小さいです!!iPod touchのようにコンパクトで可愛らしく、少し前の世代のXperiaのように小綺麗に纏まったデザインとなっています。

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ホワイトを買ったのですが、背面が予想外にカッコイイです。この自信に溢れたRマーク(笑)。

それでは、はじめに基本スペックをおさらいしましょう。

SoC:Snapdragon439

メインメモリ:3GB

ストレージ容量:32GB

ディスプレイ:3.6インチTFT液晶

バッテリー:1240mAh

重量:79g

LAN:11ac対応

カメラ:1600万画素(背面)

おサイフケータイ:あり

充電端子:Type-C

SIM:eSIMのみ対応(シングル)

恐らくこの機種の性格上サブ機種としての運用が多くなると思うのですが、格安機としてはまぁ妥協ラインのSoCに最低使えるラインは確保したメモリとストレージ、 Wi-Fiの11ac対応におサイフ搭載に何よりType-C充電と必要十分な水準のスペックを持っており、好感が持てます。これが一括1円というのは今の時代本気でやばいです。昔MNP合戦が盛んだった頃は各キャリアiPhone一括1円+商品券キャッシュバック案件等ありましたがそれは過去の愚策として忘れましょう。

ポチポチと軽いゲームやブラウジングなど行ってみましたが、取り立てて不満もなく快適に使う事ができました。こういったある意味チープともいえる端末はカクカクもっさりとした動作をする事が多いと思っていたのですが、この機種にその心配は杞憂でヌルヌルとAndroidが動いておりました。UIは独自の見やすいデザインになっています。

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また取り回しに関しては昨今の大型スマホに慣れたせいか落としてしまうのではないかと思う程軽く、慣れれば相当快適に使いこなせそうです。特に長時間通話をされる方や、作業中等常時スマホを携帯しておかなければならない方におすすめです。とにかく邪魔になりません。法人用ケータイとしても機動力を発揮しそうです。カバーとストラップは付けた方が良いでしょう。落とします^^

また楽天エリアであれば通信使放題となりますので、小型端末を活かしたテザリング機としての運用をされる方も多いのではないかと思います。ちなみに私の住んでいる香川県楽天エリア非対応です。

良い点を多く書きましたが、個人的にはeSIMのみ対応という点が残念でした。スマートなコンセプトを持つこのスマホらしく潔くはあるのですが、やはりスマホ好きな私としては物理SIMの入れ替えができればもっと他機種とSIMの入れ替えができて使用の幅が広がったのに・・と思います。

あとはやはり楽天回線自体の問題で、対応エリアを早急に増やして頂きたいとは思いました。ただしローミングauバンド(楽天モバイルauのプラチナバンドを使用可能)で私の生活圏はほぼカバーできているようで、今の所快適に通信できてはいます。

なお、カメラは1600万画素とそこそこの画素を備えていますがAI非搭載等、そこまでこだわった写真は撮れません。風景が少し白飛びします。私は写真に関しては基本的にメモを撮る程度の使い方しかしませんので詳しいレビューはできません。

 

おわりに

使用してみて全体的に思った事ですが、予想していたよりも全然クオリティの高い製品に仕上がっており驚きました。軽快で気軽さの溢れた端末となっており、使っていて楽しさのあるスマホだと思います。

ですので楽天モバイルの動向には今後も注目していきたいと思います。

なお、キャリアの回し者ではありません。

楽天モバイルについては以下の記事も参考にご覧下さい。

kiokudoko.hateblo.jp

 

 

圧倒的美学、エンリコ・ピエラヌンツィ:Live At The Village Vanguard

またもピアノトリオ・アルバムをご紹介します。

気の抜けた親父3人のジャケットが渋いです。

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 エンリコ・ピエラヌンツィ:Live At The Village Vanguard

現代最高のジャズピアニストの一人であるエンリコ・ピエラヌンツィはイタリア出身のジャズピアニストで、現在70歳の大御所となります。ジャズとクラシック両方を学んだピアニストであり、繊細で精神性の高いプレイで有名です。オーソドックスなジャズから独自の解釈をブレンドした現代的なインプロヴィゼーションまで知的にこなすピエラヌンツィはジャズピアノファンには神様の1人としてお馴染みの存在です。

当作は2010年にピエラヌンツィがニューヨークの超名門クラブ、ヴィレッジヴァンガードに出演した際の録音で、パーソネルにマーク・ジョンソン(b)とポール・モチアン(ds)という気心の知れた大御所を携え、気迫のこもった演奏を行っています。

曲目を以下に記します。

1. I mean you (Thelonious Monk)
2. Tales from the unexpected (Enrico Pieranunzi)
3. Pensive fragments (Enrico Pieranunzi)
4. My funny Valentine (Richard Rodgers - Lorenz Hart) 
5. Fellini's waltz (Enrico Pieranunzi)
6. Subconscious Lee (Lee Konitz)
7. Unless they love you (Enrico Pieranunzi)
8. La dolce vita (Nino Rota)

では聴いていきましょう。

セロニアス・モンクの軽快な1から幕を開けます。こういったバップの演奏も巧く料理し、ピエラヌンツィ特有の洒脱かつ深さのあるタッチを存分に聴かせます。2、3と彼特有の美意識で書かれたジャズとクラシックの中間的な自作曲を挟み、一番の聴き所ではないでしょうか、クラシック風の前奏からマイ・ファニー・バレンタインが紡ぎ出されます。前半をバラードで纏めてからの中間部からの堰を切ったような熱いプレイングに痺れます。とにかくピラヌンツィというピアニストは豊穣なピアニズムによる空間支配が凄いです。聴衆も恐らく息をするのも躊躇われる程の美学と緊張感を感じた筈です。そして自作曲と天才リー・コニッツの楽曲を挟み、映画音楽の8番「甘い生活」を弾きます。しっとりした前半部からフリー・ジャズのような現代的解釈のアドリブ、突然飛び出すクラシックのフレーズ等ピエラヌンツィの技術を結集させたトラックとなっており非常に聴き応えがあります。

 

おわりに

ピエラヌンツィはビル・エヴァンスの熱心なファンで研究をしており、イタリアのエヴァンス等と呼ばれる事もあるそうです。確かにクラシックを含めたアプローチや静謐で情熱的な精神性、美しいブロックコードとメロディの調和等明らかに影響を受けている点はありますが、それらエヴァンスの美しい奏法を完全に消化し己の美学と融合させていったピエラヌンツィの音楽は完全にオリジナルのものであり、現代最高のジャズピアニストに数えられる所以であると思います。

兎にも角にもとんでもなく巧いです。音の間隔や短さ、フレーズの内部での音量の緩急など綿密に計算されている事が伺え、超絶技巧となっています。

 

とにかく最高です。全人類におすすめします。

 

携帯キャリア各社対応Band、簡易的まとめ

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旧稿で楽天モバイルについて書きましたが、ここで各MNOキャリアの対応Band(周波数)について簡潔にまとめていきたいと思います。SIMフリー端末購入時等に端的に知りたい方向けにまず対応Bandをまとめて書き、その後少し詳しい説明を行います。

主要Bandを赤色、プラチナバンドを緑色、その他を黒色の文字にしています。

 

[DOCOMO]

Band1 Band3 Band19 Band21 Band28 Band42

[Softbank]

Band1 Band3 Band8 Band11 Band28 Band41 Band 42

[au]

Band1 Band3 Band11 Band18 Band26 Band28 Band41 Band42

[楽天モバイル]

Band3 Band18

 

Band1は楽天以外が使用している主要周波数で、2GHz帯の高速回線となります。また準主要回線としてBand3を使用しているキャリアが多く、補助的な役割を果たしています。海外でもBand1、3を使用しているキャリアが多いため、海外スマホを購入した際ほぼ確実に対応しているBandだと言えます。なお楽天はBand3を主要回線としていますが、現在エリアカバー率が都市部のみとなる為注意が必要です。

上で緑に色分けしたBandは各社プラチナバンド(800MHz)となっており、地下や山間部など通常は電波が届きにくい所をカバーする重要な周波数となっています。私が住んでいる四国など、地方ではこの帯域が主力とされている所も多いです。特にauは他社と比べBand1のエリアカバー率が低く、Band18(auのプラチナバンド帯域)の使用率が高いためau回線をご使用の方でSIMフリー端末を買われる方は対応確認をよく行って頂きたいと思います。

黒字で色分けしたBandはキャリアアグリケーション用や実験的周波数など補助要素が強いです。

 

今更の事ではあるのですが、安価で購入できるSIMフリー端末や白ロム端末の認知度が上がってきており、それに関するトラブルが増えているように思います。

携帯電話の機種対応情報は煩雑である事が多くつい詳しく調べる事を怠ってしまうのですが、キャリア各社が打ち出しているプランと共に、しっかりと情報を検索して頂き、比較検討して頂ければと思います。

 

楽天モバイルの暴力的な値下げ、留意する事前情報の備忘録

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出典:楽天モバイル

さて、数日前から始まりTwitter等でも話題になっている楽天モバイルの小型スマホRakuten mini1円キャンペーンですが、転売屋の方・新しいもの好きな方・サブ端末を契約したい方・コロナで職を失って回線代を支払っている場合ではない方・私のようなガジェット好きの中年といった多くの層にオススメの驚異的な値引き案件となっております。ただし新興MNOという不安要素(エリアカバー率、対応周波数)からメイン回線をMNPするのは少し様子を見た方がいいかもしれません。

 

 Rakuten UN-LIMITお申し込みでRakuten Mini本体代が1円 | 楽天モバイル

↑早々に2週間待ちの告知がされてしまいました・・・。

 

上記のリンクタイトルの通りUN-LIMITという楽天モバイルのスタンダードプランの同時申し込みが条件となっていますが、そちらのプランも現在先着300万人まで1年間基本料を無料にするキャンペーンが行われており、むしろ契約する事にメリットがある状態となっています。なにしろ楽天モバイルには最低利用期間がなく、つまりいつ解約しても違約金はかかりません。そのプラン自体、内容から見てかなり安い価格に設定されている為、無料期間終了後も使用継続するのもアリアリだと思います。

更に6/30までに申し込みをしRakuten Linkという専用アプリ(みおふぉんやマイネオ電話のような通話割引アプリ)を導入するとオンライン契約特典3000ポイント+契約時の事務手数料3300円分ポイント還元となる嬉しいキャンペーンも行われています。店舗で契約してしまうとオンライン特典の3000ポイントは出ませんので注意して下さい。

現在の割引内容をまとめますと、

 

 ・Rakuten Mini本体1円、ただしUN-LIMITプラン同時加入必須

 ・UN-LIMITプラン(2980円/月)が1年無料

 ・通話アプリ(Rakuten Link)導入でオンライン契約特典3000ポイント+契約手数料分  3300ポイント還元  

 

どこかに罠があるのではないかと疑ってしまうレベルの割引となっており、ユーザーにはメリットしかない案件となっています。

楽天モバイルといえば格安回線で有名でしたが、今年に入り独自の基地局を設け(現在はまだ関東や関西の都心部など一部のエリアしかカバーしておりませんが)、MNO業者としてdocomoauSoftbankの大手3社の中に割り込みました。そういった事情もありどんな事をしてでもユーザーを囲い込みたいという同社の気迫が伺えます。

楽天端末がどんなものか気になる為、私はとりあえず契約してみようと思います。

なおMNOになった楽天モバイルは自前の回線+足りないエリアをカバーする為にau回線(プラチナバンドのみ)と提携しており、白ロムで使用する際には対応の端末を使わなければならず(iPhoneでもXR以上の機種なら使用可能等の情報がありますが、公式には発表されていません)注意が必要です。同時購入端末以外の白ロム等で使用される場合は、対応端末を確認なさった方が賢明です。一応下記にリンクを貼ります。

 

楽天回線対応製品 | 製品 | 楽天モバイル

 

自前のキャリア周波数簡易まとめ記事も貼っておきます。 参考にどうぞ。

kiokudoko.hateblo.jp

 

Rakuten Mini以外にもモバイルガジェット界隈で格安Galaxyとして有名なA7が実質3000円程で買えてしまう等、契約獲得の為攻めた方策を打ち出す楽天モバイルの動向はしばらく面白そうです。

ご検討中の皆様はぜひ参考にして頂ければと思います。

Rakuten Miniのレビューはこちら!

kiokudoko.hateblo.jp

 

ブラック・ミラー:バンダースナッチは我々を支配するのか?

今更ではありますが、Netflix専用配信の映画、ブラック・ミラー:バンダースナッチを視聴し大変刺激を受けた為、ご紹介します。

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 出典:Netflix

ドット絵で表現された、怪物バンダースナッチをイメージしたと思われるライオンのようなグラフィック。サムネイルの時点から名作のオーラをプンプン放っています。

 

ブラック・ミラーについて

本作はイギリスの有名なテレビドラマ、ブラック・ミラーより制作されたスピンオフ作品となっています。

ブラック・ミラーは社会風刺の中にダークで刺激的な要素を加えたSFで、荒廃した世界観やひねりの効いたブラックユーモア、救いようのない不可逆なバッドイベント等を特徴とした、近年の先進的な映像界を代表するような知的で野心的な作品となっており、大変見応えがあります。

2011年よりイギリスで放映開始されたこのドラマですが、2015年にNetflixが番組を買収した経緯があり、以降は同サイトでの専用配信となっているようです。

その流れでエッジの効いた単発作品として2018年に配信されたのがこのバンダースナッチとなります。

現在ブラック・ミラーはシーズン5まで配信されているのですが、4と5の間に制作されたのが本作となっています。

なお、ブラック・ミラーは基本単発ストーリーとなっている為前後の繋がりはありません。

 

バンダースナッチ、実験的な映像手法

さて内容に関してですが、バンダースナッチインタラクティブ(双方向)作品と銘打たれており、視聴者参加型、つまり作品にこちら側からも干渉する形式が取られています。作中ではゲーム・プログラマーの主人公ステファンが「バンダースナッチ」という愛読書のアドベンチャーブック(選択肢があり、それによって次に読むページが指定されるゲーム形式の本)を基にアドベンチャーゲームを制作する事になるのですが、その内容のように映画自体にも選択肢が現れ視聴者がクリックする事により物語が進む試みがされています。

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 出典:Netflix

 上記の画像の通り、映画というより最早ゲームに近いコンセプトとなっており、去年You Tube等のゲーム界隈で流行っていたデトロイト・ビカム・ヒューマンをはじめとする海外のオープンシナリオアドベンチャーゲームを彷彿とさせます。流石はブラック・ミラーという事でしょうか、作中内容の奇抜さだけでなくついにフレームワークにすら実験的な要素を加えてきたようです。

しかしそういった野心的な要素に振り回される事なく、むしろ一体としてストーリーに取り込んだいかにもブラック・ミラー的な社会病質的でディストピア感のある内容が繰り広げられ、選択肢を進めていく程に作品にのめり込みます。

ネタバレとなってしまう為具体的なストーリー展開の紹介は控えますが、「現実とパラレルリアリティが混同し始める」との映像紹介の通り、メタ的なキャラクターやセリフ、SFお得意の上位者的要素がモリモリと詰め込まれており、そういった種類の作品が好きな視聴者の方は特に楽しめると思います。

私は詳しくないのでよくわからないのですが、SFファンの方にとっては本作の舞台の1984年は同名のSF小説が存在する特別な年のようで、そういったミームの取り込みもされている作品のようです。

さて、問題はこの作品は果たして映画なのか?それともアドベンチャーゲームなのか?という問いを個人的に感じたのですが(映像サイトで配信されており、かつ作品カテゴリに映画と表記されている事は一旦置いておいて)、直感的にはやはり映画だと思います。論理的に要素を分析した訳ではないので自信をもって言い切る事はできません。しかし作品全体を通して選択肢を視聴者に与えているものの結局の所製作者が意のままにコントロールしており、何よりそれが映画的な説得力を持ってなされている事が伺えます。結局の所シナリオが存在する以上ゲームも製作者の意図通りに進むと言えるのですが、ゲームにはゲーム特有の開放感というか自由度を感じさせる要素があると思います。とはいえバンダースナッチというタイトルで検索すると攻略記事を書いているブログ等も見られ、映画かゲームかという垣根が曖昧になっているのは確かなようです。結局実写を基に制作されているから映画だと感じているだけなのかもしれません。

昨今はグラフィック技術の向上によりゲーム側が映画に近付く努力をしている事が見受けられ、そのあたりの事情は非常に面白いと思います。

本職の方等詳しい方の考察が気になります。

 

おわりに

まだご覧になっていない方は、ぜひともブラック・ミラー:バンダースナッチを体験して頂ければと思います。そして感涙の美しいハッピーエンドを目指しましょう。

しかし・・・皆様はパラレルリアリティに取り込まれないようご注意下さい。現実では一旦選んだ選択肢は撤回できません。多分。

関西のピアノ猛者、竹下清志のLive atについて

今日もご機嫌なピアノトリオ・アルバムのご紹介です。f:id:nitamago8:20200526210053j:plain

竹下清志:Live at

パーソネル:竹下清志(p)安藤 昇(b)江藤良人(ds)

竹下清志さんと言えば関西のジャズシーンではよく知られているピアニストであり、ジャズにタンゴ、ロックまでマルチにこなすミュージシャンです。主に関西圏のジャズバーやクラブを自身のプロジェクトで、又はセッションミュージシャンとして飛び回っている売れっ子なのですが、当アルバムは竹下さんの活動の本拠地である梅田の老舗ジャズバー・ロイヤルホース(現在はコロナの影響により休業中だそうです)にて行われた2006年のライブ録音となります。

またロイヤルホースの独自企画盤であり、同店HPのみで販売されているようです。

以下に曲目を記します。

1.カリヨン

2.シスター・シェリ

3.イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ

4.マイ・ディア

5.トラスト・イン・ミー

6.ワン・フィンガー・スナップ

7.ドリーム

では聴き所を書いていきましょう。

1.は竹下さんの自作曲との事で、楽器のカリヨンをモチーフにした、和音を鐘のように奏でていく静かな楽曲となっています。竹下さんのピアノに呼応するベースとドラムとのやり取りが巧みです。内面に沈んでいくような落ち着いた演奏となっています。その雰囲気を残したまま天才ドラマー、トニー・ウィリアムズの楽曲に入ります。徐々に盛り上がる展開、インタープレイに胸が熱くなります。竹下さんの郷愁的かつロマンチックな演奏の解釈は凄みがありますが、1.と同じく呼応するように寄り添うベースとドラムの技量も素晴らしいと思います。スケール感の大きい演奏となっています。

3.は有名なスタンダードです。思惟的なイントロから始まり、2.までとは打って変わってジャズ的なスウィングした演奏となります。竹下さんらしいモダンなシャッフルのようなフレーズ展開が小気味よく美しいです。

6.ワン・フィンガー・スナップはハービー・ハンコック作曲のかっこいい曲ですが、開幕から気迫ある演奏を繰り広げ、ノリに乗っている事が伺えます。ジャズ的なアップテンポで技巧的なピアノでグイグイ攻めますが、前半の曲目で聴かせたようなどこか静かで知的な雰囲気も残っているのが特徴です。竹下さんといえば天才的なプレイで有名な人ですが、まさに面目躍如といった所で、練りに練った完璧な構成で聴かせる文句のつけようのない名演となっています。

ボーカル入の7.でしっとり締めますが、個人的に器楽のアルバムにアクセントとして取り入れられるボーカル演奏があまり好きではありませんので感想は特にありません。

 

おわりに

本文で何度も書いたのですが、一貫して静かで考え耽るようなイメージをアルバム全体的に感じさせる安らかな作品となっています。大切な人との癒しの時間のお供に、また集中したい時のBGMに、はたまた夜のドライブミュージックに・・・ぜひ聴いて頂ければと思います。

せっかくなので、最後にYou Tubeにアップされている竹下清志さんの超絶かっこいいソロアドリブ動画を貼ります。


KIYOSHI TAKESITA (P)竹下 清志

出典:You Tube

 

痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。を見たので所感を述べることにしたが、思ったより書くことがなかったので更新が捗らなかった件


TVアニメ『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』ティザーPV

出典:You Tube

(C)2020 夕蜜柑・狐印/KADOKAWA/防振り製作委員会

まえがき

5月前半の話なのですが、GW前から勤務先が休業となり、久しぶりにガッツリと映像を見たいという気持ちになりました。約1年ぶりにNetflixを再開し、数年前から見ていた海外ドラマの最新シーズン等を探して視聴していたのですが、それらをある程度見終わり次に見る動画を探していた所、ふとアニメのカテゴリが目に入った為何の気なしにクリックしてみました。するとあからさまに近年多いなろう系小説原作とわかる本作のタイトルが目立っていた為、興味を覚えました。

しかし私は個人的に原作が書籍の作品に関しては知覚情報が少ない媒体で鑑賞する方が面白いという持論を持っており、つまり漫画や小説やドラマCDといった、作品をインプットする感覚器が限定されている媒体の方が作品内の空気感や情感について想像する余地が残されていると考えているのですが、そういった事情もありこれまで映像作品の中でも原作のあるアニメの視聴にはあまり前向きではありませんでした。

とはいえ、そろそろそんな自己理論から脱却したいという欲求があり、また後述するなろう系特有の理由により今作を視聴する運びとなりました。

 

なろう系について思うこと

本作は小説投稿サイト・小説家になろう上で連載されている同名の作品が原作となっています。著者は夕蜜紺先生です。

漫画やアニメのファンの皆様は既に周知の事と思いますが、小説家になろうは個人投稿サイトという性質上乱文が多くなっており、到底読むことが難しいと思われる稚拙な内容の作品なども投稿されています。人気のジャンルがある程度固定されている為似たりよったりの内容が大量に投稿され差別化が難しくなっているのも特徴です。

また人気の作品においても一人称や口調などが統一されていない、ぶつ切りでまとまりのない文章、ストーリーにおけるキャラクターの感情や会話の描写が変哲といったある意味SNS時代の社会病質とも言える問題を抱えている事があり、読書をよくされる方には苦痛を感じさせるコンテンツになっていると思います。

しかしやはり人気が高く出版社にメディア展開されていくような作品はストーリーが優れているものが多くあり、まさに荒削りの才能で魅せるといった具合になっています。そしてかなりの確率でやれやれ系男子無意味に可愛い少女が出てきます。

そういった事情からなろう系作品はむしろメディア展開に向いているという特有の構造を抱えています。アニメーターや漫画家といったプロが原作をリメイクする事で色々と美麗に補完がなされ完成度が増すという事です。

 

作品の感想

二日間で一気に見たのですが、正直に思った事は

面白くも面白くなくもなく、普通

でした。

ただ、このところ最早宇宙的規模で存在するのではないかとすら思われる異世界転生モノや、.hackのようなゲームの中に精神が取り込まれ系ではない点には好感を覚えました。

今作は単純に美少女がVRMMOゲームをするだけという内容になっています。勿論ヘッドマウントディスプレイは装着します。lainを好きになりましょう。

ゲームの描写だけではなく現実パートもあり、ゲーム内キャラがダメージを負う事により現実のキャラクターが傷つく事もなく安心感はあるのですが、逆に言うと緊迫感はありません。かつては私もゲームにのめり込んでいた時期がありましたので偉そうには書けませんが、ゲーム内での出来事が世の中の全てのようにキャラが四苦八苦する様子には若干の薄ら寒さを覚えます。

ストーリーですが、ゲームを殆どやった事がないにも関わらず、その天然の思考でいともたやすくマンチ行為を行う主人公、身体能力が優れており集中すると敵の動きがスローで見えてそうな可愛いギャルの親友などなろう特有のチート要素があり、爽快な内容ではあります。

しかし毎回山場はあるものの基本的にはゲーム内イベントをこなすだけとなっており、平坦でドラマ性もそれ程なく微妙なものになってしまっています。やはりゲームを主軸にするなら、キャラ同士の心理的交錯や戦略的思考等をもう少し掘り下げて描写して欲しかったと思いました。

大事な事ですが、キャラは可愛いです。癒されます。アニメーターの技量が凄いと思います。

舌足らずでキンキンした典型的主人公声にはいまだに慣れません。

 

おわりに

色々と批判のような事を書いたものの、興味を惹かれる内容もあり、全体としては割と良かったと思います。

何よりこれはアニメ全体に言える事なのですが、音楽が素晴らしいです。今作は増田太郎さんという方がサウンドを手掛けているらしいのですが、ゲーム音楽に相応しいかっこいい音作りがされていました。作曲家の方には日々尊敬の念を感じます。

続編の制作が決定しているとの事なので、楽しみにしています。ただ恐らく見ないと思います。万が一また勤務先が休業になったら発作的に見るかもしれません。

次回のレビューではゴッサムやベター・コール・ソウル等大好きな海外ドラマのレビューが・・・したい・・・