記憶はどこに消えた?

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ファンク!ペインテッド・ピクチャーズ:タクシード・セッションズ

 今回はデトロイト・ミュージックのご紹介です。

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ペインテッド・ピクチャーズ:タクシード・セッションズ

 

1.Sweet Melody

2.Fine show your toes edit

3.Fine

4.Keep it in the pocket

5.Send me over

6.Livin'

7.Woody

8.Something

9.Fine Jhon Arnold remix

10.Livin' Alton Miller remix

11.Where do we go

 

私は日頃ヤフオクラクマといったサービスを使うのですが、先日ラクマのポイント消化のため安く出品されているジャズ系アルバムを検索していると直感的に気になるアルバムがあり、とりあえず購入してみた所素晴らしい内容だった為レビューします。

今作はデトロイドのプロデューサー、マリク・アルストンが編成したバンドによるセッション・アルバムで、ファンク・ジャズ・ヒップホップ等様々な要素を華麗に料理した刺激的な内容となっています。

デトロイトといえばフォードなど巨大な自動車企業が勃興した都市ですが、音楽的には様々な要素の音楽が独自に混じり合い発展している土地となっています。

マーヴィン・ゲイスティービー・ワンダーが所属していた、ソウルミュージックでお馴染みのレーベル・モータウン発祥の地であり、またケニー・バレルミルト・ジャクソンといったジャズ界の巨人たちの出身地でもあります。

90年代以降は印象的な16ビートとシンセサウンドで聴かせるダンス・ミュージックのデトロイト・ハウスが発生したり、またラップの天才エミネムが台頭しヒップホップ方面も賑わせるようになっています。

2005年発売のこのアルバムはそういった歴史的背景を消化したかっこいいアルバムとなっており、プロデューサーの確かな技量の程が伺えます。また各演奏者の技術も素晴らしいです。

 

では収録曲を聴いていきましょう。

ラテン調のジャズから始まる1番。冒頭に相応しい爽やかな曲です。そしてskitを挟み、フュージョン・ファンクの3番。更に雑多なファンクとなった現代的な4番と続きます。そして個人的に今作の白眉と言える5番Send me over。思惟的な16ビートから始まるこのジャズ・ハウスは軽やかにうねるグルーブと透明感のあるボーカルが一体となり迫ってくる佳作であり、曲の前半部から終盤までストーリーを感じさせるような、バンドの実力を見せつけるトラックとなっています。

6番はファンク、7番ではモダンジャズ調の演奏が繰り広げられ、8番では再びジャズ・ハウス的な楽曲となります。このバンドはオーソドックスなジャズは正直それ程うまくありませんが、ハウス、ファンク的な演奏は抜群に上手いです。

9、10番は収録曲のリミックスで、デトロイト・テクノ感溢れるトラックとなっています。最終曲11番はソウルやファンクといった要素を料理した現代的なダンスチューンとなっており、聴き応えがあります。

 

全体を通して野心的な曲作りがされており、恐らく普段はデトロイト・テクノのプロデューサーであろうマリク・アルストンの、ある意味本業から開放されたかのような自由な音楽感が伺える作品となっています。しかしやはり随所にデトロイト的なディープさが散りばめられており、デトロイト音楽の懐の深さ、また中毒性を感じさせられました。

 

買ってよかったです。